連続増配継続中!知れば知るほど魅力的な”ライト工業”

更新日:2023年5月1日

連続増配企業を調べていて知った「ライト工業」という会社が、JPX日経中小型株指数構成銘柄でもあると知り、興味が湧いたので調べてみることにしました。

連続増配中ということで利回りの期待感は高く、JPX日経中小型株指数構成銘柄ということで業績や財務への期待感も高いなか、ライト工業の分析を進めていくと…。
想像していたよりも遥に魅力の溢れる企業だということがわかってしまいました!

ライト工業は、土木・建築・海外・研究開発の4つを事業としており、建設セクターに分類される銘柄です。建設セクターには、大和ハウス工業や積水ハウスのような有名大型銘柄もありますね!

※本記事のデータは、IR BANKを参照しております。
※本記事は作者の頭の整理ならびに情報提供を目的としており、投資を推奨する意図はございません。投資判断はご自身でお願いいたします。

着目する「9つの要素」とは?

  1. 配当利回り
    株式の購入金額に対して年間で受け取ることのできる配当金を表す数値
  2. 配当推移
    増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ること
  3. 配当性向
    増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ること
  4. 売上高
    企業が商品やサービスを提供して得られる売上合計金額
  5. 営業活動CF
    本業による収入と支出の差額
  6. 営業利益率
    本業がどれくらい効率的に利益を出しているのか知るための指標
  7. EPS
    1株あたり純利益
  8. 自己資本比率
    企業の持つ総資本のうち純資産が占める割合
  9. 現金等保有額
    現金や換金性の高い資産をどれだけ持っているのかを表す指標

ライト工業の評価

まずはライト工業の評価!
ライト工業は、総合31点で「非常に魅力的な銘柄」と評価しました。
ライト工業は「9年連続増配」「恐慌時の安定配当実績」「配当性向30~50%」「営業CF」「営業利益率」「自己資本比率」などが非常に魅力的です。

2014年3月決算以降、9年連続で増配を実施していますが、配当性向は31%とまだまだ余力のある状態で、今後も増配を期待できそうな銘柄です。また、リーマンショック時にも減配することなく配当を実施しており、恐慌時の安定配当も期待できます。

営業CFは2010年3月決算以降常に黒字、10年間で約3.27倍になっており本業で稼ぐ力が強くなっていることがわかります。今後も本業で利益を出し続け、利益を株主に還元してくれることを期待します。

営業利益率は10年前と比較して非常に改善されており、10%を超える超優良水準まで到達しています。自己資本比率に関しても60%を超えており、倒産確率は極めて低い企業であることがわかります。

懸念点としては「利回りが3.02%」「2年連続でのEPS減少」があげられます。
現在の株価で購入する場合、利回りは3.02%しかないため、株価が下がったタイミングで購入する方法、または、今後の増配に期待して現在の株価で購入をするという考え方もあります。現在の株価で購入した場合、1株74円まで増配されたときに利回り3.75%を満たします。

2年連続でのEPS減少に関しても人によって判断が別れる部分だと思います。過去10年間で減少したのはわずか2年であり、右肩上がりに推移しているといえないこともないため、懸念するに値しないと判断する方もいることでしょう。

株主還元

本記事の株主還元では、「配当利回り」「配当推移」「配当性向」の3点から企業が積極的に株主還元をおこなっているのかを調査していきます。現在の配当利回りからは高配当株として投資に値する水準なのかを判断し、配当推移からは、安定した配当を実施してくれているのか、この先も配当を実施し続ける可能性が高いのかを考察します。配当性向については、無理のない株主還元を実施しており、今後も継続的な株主還元が見込めるのかを判断していきます。

配当利回り

配当利回りとは、株式の購入金額に対して年間で受け取ることのできる配当金を表す数値であり、「配当利回り=年間配当金/株式購入金額*100」という式で表されます。

2023年4月16日時点、ライト工業の予想配当利回りは、約3.02%です。
※2023年予想配当金額59円、2023年4月14日終値1,955円で計算しています。

高配当株の基準とされる税引前配当利回り3.75%(税引後配当利回り3.00%)を下回る水準です。配当利回り3.02%は100万円を投資していれば、税引前で約30,200円の配当金を得られる計算になります。

配当利回り3.02%はパンダの判断基準3.75%を満たしていないため×と評価します。

株価が1,685円を下回れば、△と評価する基準の利回り3.5%を超えます。高配当株の基準である3.75%を超えるためには株価が1573円を下回る必要があります。52週安値が1,648円、2020年3月には1,100円台も記録しており、タイミングによっては3.75%以上の利回りで購入することもできそうです。

配当金推移

増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ることを指します。
具体的なライト工業の2012年から2022年の配当金推移はグラフのようになっています。

過去10年間の配当金推移のグラフ

POINT!

総合評価:◎

(10年間での減配実績なし:◎ / 恐慌時の安定配当実績:◎)

2012年~2022年の10年間で増配回数9回、減配0回で2023年は2022年から増配して1株あたり59円の配当を予想しています。2012年と2023年の配当金を比較すると6.75倍に成長しています。

投資の判断基準の1つである「10年間減配なし」に関しては、10年間で減配は1度もなく、8回以上の増配を実施していることから◎評価です。コロナ禍(2021年3月決算)では、9円の増配(41円→50円)を実施しています。

もう1つの指標である「恐慌時の安定配当実績」に関しても◎と評価します。リーマンショック時の2010年3月決算では、前年8円→8円で減配はありませんでした。2007年3月決算~2013年3月決算まで1株8円の配当を継続しており、市場環境に左右されることなく配当を実施しています。2021年3月決算で増配を実施ていることにより、◎の基準である「不況時に減配がなく、増配を実施した実績がある」を満たしたため◎の評価です。

配当性向

配当性向とは、当期純利益のうち、どれだけの割合を配当金の支払いに当てたのかを示す指標です。配当性向は高ければ高いほど良いわけではありません。配当性向が100%以上の場合、当期純利益以上に配当金を支払っており、事業の継続性に影響を及ぼす可能性があります。配当性向30~50%程度の企業は優良企業と考えることができます。また、企業によっては中期経営計画で目標とする配当性向を公表している企業もありますので、中期経営計画の水準を満たしているのかを調べることも大切です。

総合評価

POINT!

配当性向:◎

投資判断の基準である配当性向30~50%は◎と評価します。2022年3月決算の配当性向は31%であり、◎の基準である30%~50%を満たしています。過去10年間の平均は26.3%ですが、2019年以降は配当性向30%以上を維持しており、還元意識の高まりを見てとることができます。株主還元、配当に対しての考え方では、「安定的な配当の維持」を基本としており、今後も無理のない範囲で配当を続けてくれることを期待したい銘柄です。

株主還元の評価

  1. 配当利回り:× 
  2. 配当推移:◎ 
  3. 配当性向:◎ 

収益性

本記事の収益性では、「売上高」「営業CF」の2点から事業が順調に拡大しており、企業が収益を得ることができているのかを調査していきます。売上が順調に拡大していれば、配当金の増加だけではなく、今後の株価の上昇も期待することができます。営業CFでは、企業が本業でどれだけの利益を出しているのかを知ることができ、しっかりと稼いでいる企業なのかを判断できます。また、営業CFが長期的に増加していれば、今後もさらに本業で利益を出すことが期待でき、継続的な配当を計算することができます。

売上高

売上高とは、企業が商品やサービスを提供して得られる売上合計金額です。営業収益や収益などの呼ばれ方をしている場合もあるが、それらは全て売上高のことを指します。

ライト工業の2012年から2022年の売上高推移はグラフのようになっています。

過去10年間の売上高推移のグラフ

POINT!

総合評価:○

(売上高の安定性:○ / 売上高の成長性:△)

売上高は増加8回、減少2回で2012年と2022年の売上高を比較すると約1.48倍に成長しています。

投資判断基準である「売上の安定性」に関しては○と評価します。2015年3月決算で前年比7.66%の減収、2018年3月決算で前年比2.15%の減収を記録していますが、10%以上の売上減少は1度もないため○と評価しました。10年連続での売上増加を◎としているため、○の判断ですが十分に安定しています。

もう1つの投資判断基準「売上の成長性」に関しては△と評価します。10年間で売上は1.48倍となっていますが、○と判断するための基準である1.6倍には届いていません。過去10年間で前年比10%以上の増収を達成したのは2014年3月決算の1度だけであり、成長性の高い銘柄ではなさそうです。

営業活動CF(営業キャッシュフロー)

営業活動CFとは、本業による収入と支出の差額を指します。投資CFや財務CFを含まないため、本業で利益が出ているのかを確認することができます。

ライト工業の2012年から2022年の営業CF推移はグラフのようになっています。

過去10年間の営業CF推移のグラフ

POINT!

総合評価:◎

(毎年黒字:○ / 長期的に増加:◎)

10年間で営業CF増加4回、減少6回で2012年と2023年を比較すると約3.27倍に成長しています。

投資判断基準である「毎年黒字」に関しては○と評価します。過去10年間で赤字は一度もなく本業で利益を出し続けています。過去10年間で赤字はありませんが、2009年3月決算では営業CFが赤字を記録していることは押さえておきましょう。

もう1つの投資判断基準である「長期的に増加」に関しては◎と判断します。10年間で2.6倍以上に成長した場合は◎の評価を定めていることが理由です。2015年3月決算で営業CFが大幅に増加しており、その後はほぼ毎年2桁以上の増減を記録しています。

長期的に増加しているといえるのか疑問の残る推移をしているため、判断基準を見直す必要性を感じています。

収益性の評価

  1. 売上高:○ 
  2. 営業活動CF:◎ 

生産性

本記事の生産性では、「営業利益率」「EPS」の2点から企業の生産性の高さを調査していきます。営業利益率では、本業がどの程度効率的に利益を生み出しているのかを判断します。本業で効率的に利益を生み出している企業は、継続的に株主に還元する余裕があると考えることができるため非常に重要な指標となっています。
EPSからは、1株あたりの純利益が継続的に増えているのかを見ていきます。EPSは経営の上手さを表すとも言われており、右肩上がりの銘柄は順調な経営をしていると判断することができます。

営業利益率

営業利益率は、本業がどれくらい効率的に利益を出しているのか知るための指標であり、「営業利益/売上」という式で示すことができます。※営業利益は、売上から売上原価や販管費などを差し引いた金額です。

ライト工業の2012年から2022年の営業利益率推移はグラフのようになっています。

過去10年間の営業利益率推移のグラフ

POINT!

総合評価:◎

(営業利益率5%以上:◎ / 営業利益率のトレンド:○)

営業利益率は10年間で増加8回、減少2回です。

投資判断基準の「営業利益率5%以上」は◎と評価します。2022年3月決算では、◎の基準である営業利益率10%を超える12.09%の営業利益率を記録しています。2012年3月決算では3.05%と低水準でしたが、2014年3月決算~2022年3月決算まで常に5%以上を維持しており、2021年3月決算,2022年3月決算では10%を超えるまで改善されています。

もう1つの投資判断基準である「営業利益率のトレンド」に関しては○と判断します。2012年3月決算以降、10年間で8回の改善を記録しており上昇トレンドと判断するに値します。2回の減少があるため○の判断ですが、3.05%→12.09%へと見事な改善を見せています。

EPS

EPSとは、1株あたり純利益のことを指しており、「当期純利益/発行済株式数」という式で表されます。EPSが右肩上がりであれば、それだけでも会社経営としては100点だと言われることもある重要指標です。※当期純利益とは、企業が1年間をとしてあげた収益から人件費や販管費、税金など全ての費用を差し引いた利益のことです。

ライト工業の2012年から2022年のEPS推移はグラフのようになっています。

過去10年間のEPS推移のグラフ

POINT!

EPSが右肩上がり:△

EPSは8回、減少2回で2012年と2022年で比較すると約6.00倍に成長しています。

投資判断の基準である「EPSが右肩上がり」に関しては△と評価します。10年間で8回のEPS上昇は素晴らしいですが、2018年3月決算,2019年3月決算と2期連続でEPSが減少しており、○の判断基準である「2年連続減少なし」の条件を満たせていないため△の判定です。長い目で見れば右肩上がりだというご意見もあるかと思いますので、ぜひご自身で判断してください。

生産性の評価

  1. 営業利益率:◎ 
  2. EPS:△ 

安全性

本記事の安全性では、「自己資本比率」「現金等保有額」の2点から企業の安全性の高さを調査しています。自己資本比率は、40%以上あれば倒産確率が低いと考えられており、この水準を超えている企業は比較的安全な投資先だと判断することができます。現金等保有額は、現金や換金性の高い資産の保有額であり、企業の経営が順調であれば増加していく傾向だとされています。また、現金等保有額が多いほど、資金が必要になった際に対応しやすいため企業の安全性を示す指標だと考えています。

自己資本比率

自己資本比率とは、企業の持つ総資本のうち純資産が占める割合のことを指します。一般的には自己資本比率が高ければ高いほど会社が潰れにくいと考えられています。
例えば総資本100万円の企業の自己資本が100万円であれば、自己資本比率は100%です。総資本100万円の企業の自己資本が50万円、借入金額が50万円の場合は自己資本比率50%です。

ライト工業の2012年から2022年の自己資本比率はグラフのようになっています。

過去10年間の自己資本比率推移のグラフ

POINT!

自己資本比率40%以上:◎

自己資本比率は10年間で増加8回、減少2回です。

投資判断基準である「自己資本比率40%以上」に関しては◎と評価します。2023年3月決算の自己資本比率は69.7%であり、◎の基準となる60%を上回っています。10年平均でも60.2%と非常に高水準であることがわかります。

2018年3月決算で60%を超えて以降、常に60%以上の水準を維持しています。また、過去10年間の最低は50.1%であり、常に倒産確率が低い水準に収まっていることがわかります。

現金等保有額

現金等とは、現金や換金性の高い資産をどれだけ持っているのかを表す指標です。現金等が前年度と比較して増加していれば、経営状態が良いと判断できます。

ライト工業の2012年から2022年の現金等推移はグラフのようになっています。

過去10年間の現金等推移のグラフ

POINT!

安定して増加:○

現金等保有額は増加8回、減少1回で現金等保有額は3.17倍に成長しています。

投資判断基準である「現金等が安定して増加」に関しては○と評価します。10年間で減少はわずか1回であり、その減少幅も前年比10%以下と非常に安定した推移を見せています。10年間で現金等保有額が3.17倍に成長しており、安定した経営を続けていることがわかります。

新技術の開発、新規事業の展開などに内部留保金を活用することを配当方針としているため、現金等を投資に回してさらに事業を拡大してくれることに期待したいと思います。

生産性の評価

  1. 自己資本比率:◎ 
  2. 現金等保有額:○ 

まとめ

今回のライト工業は、

  1. 株主還元
    1. 配当利回り:×
    2. 配当推移:◎
    3. 配当性向:◎
  2. 収益性
    1. 売上高:○
    2. 営業CF:◎
  3. 生産性
    1. 営業利益率:◎
    2. EPS:△
  4. 安全性
    1. 自己資本比率:◎
    2. 現金等保有額:○

という結果でした。

ライト工業は、総合31点で「非常に魅力的な銘柄」と評価しました。
ライト工業は「9年連続増配」「恐慌時の安定配当実績」「配当性向30~50%」「営業CF」「営業利益率」「自己資本比率」などが非常に魅力的です。

2014年3月決算以降、9年連続で増配を実施していますが、配当性向は31%とまだまだ余力のある状態で、今後も増配を期待できそうな銘柄です。また、リーマンショック時にも減配することなく配当を実施しており、恐慌時の安定配当も期待できます。

営業CFは2010年3月決算以降常に黒字、10年間で約3.27倍になっており本業で稼ぐ力が強くなっていることがわかります。今後も本業で利益を出し続け、利益を株主に還元してくれることを期待します。

営業利益率は10年前と比較して非常に改善されており、10%を超える超優良水準まで到達しています。自己資本比率に関しても60%を超えており、倒産確率は極めて低い企業であることがわかります。

懸念点としては「利回りが3.02%」「2年連続でのEPS減少」があげられます。
現在の株価で購入する場合、利回りは3.02%しかないため、株価が下がったタイミングで購入する方法、または、今後の増配に期待して現在の株価で購入をするという考え方もあります。現在の株価で購入した場合、1株74円まで増配されたときに利回り3.75%を満たします。

2年連続でのEPS減少に関しても人によって判断が別れる部分だと思います。過去10年間で減少したのはわずか2年であり、右肩上がりに推移しているといえないこともないため、懸念するに値しないと判断する方もいることでしょう。