1株40円の大増配!安定配当が魅力の電機メーカー”ダイヘン”

更新日:2023年4月29日

高配当株投資で不労所得を得てFIREしたい!そんな思いで銘柄を探していると、1株40円の増配を発表した「ダイヘン」という企業があることを知りました。

1株40円も増配を発表しているということは、業績が好調なのだろうか。株主に対する還元に積極的な企業なのだろうか。売上は拡大傾向にあるのだろうか。倒産確率は低くて今後も配当を期待できそうなのか。など疑問が湧いてきたので大増配をしたダイヘンが高配当株としてPFに追加するべき銘柄なのかを調べてみました!

※本記事のデータは、IR BANKを参照しております。
※本記事は作者の頭の整理ならびに情報提供を目的としており、投資を推奨する意図はございません。投資判断はご自身でお願いいたします。

着目する「9つの要素」とは?

  1. 配当利回り
    株式の購入金額に対して年間で受け取ることのできる配当金を表す数値
  2. 配当推移
    増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ること
  3. 配当性向
    増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ること
  4. 売上高
    企業が商品やサービスを提供して得られる売上合計金額
  5. 営業活動CF
    本業による収入と支出の差額
  6. 営業利益率
    本業がどれくらい効率的に利益を出しているのか知るための指標
  7. EPS
    1株あたり純利益
  8. 自己資本比率
    企業の持つ総資本のうち純資産が占める割合
  9. 現金等保有額
    現金や換金性の高い資産をどれだけ持っているのかを表す指標

ダイヘンの評価

まずはダイヘンの評価!
ダイヘンは、総合21点で「魅力的な銘柄」と評価しました。
特に「営業CF」の項目は非常に魅力的でした。毎年黒字を記録しており、本業で利益を出し続けていることがわかります。また、10年前と比較して3.57倍への成長を見せており、本業での利益が大幅に拡大していることがわかります。他にも「配当推移」「売上高」「EPS」「自己資本比率」の指標は十分な水準を記録しています。

「利回り」「配当性向」「営業利益率」「現金等保有額」は△の評価でしたが、すべての指標で○に近い数値を記録しています。利回りは株価が2022年10月頃の水準に戻れば3.75%を満たします。配当性向に関しても2022年は30%を下回りましたが、2023年は増配を予定しており、30~50%の水準を満たしそうです。営業利益率、現金等保有額に関しても2023年3月決算によって○の評価がつく水準となっています。

2023年3月決算を終えた頃には、さらに魅力度が増し、非常に魅力的な銘柄と判断できそうな予感がしています。

もう1つの懸念点である現金等保有額は企業の経営状態を表す指標の1つであり、EPSが順調に推移していることから大きく心配する必要はないのかもしれません。その他の指標も用いて総合的に判断した上で購入の判断を下しましょう。

株主還元

本記事の株主還元では、「配当利回り」「配当推移」「配当性向」の3点から企業が積極的に株主還元をおこなっているのかを調査していきます。現在の配当利回りからは高配当株として投資に値する水準なのかを判断し、配当推移からは、安定した配当を実施してくれているのか、この先も配当を実施し続ける可能性が高いのかを考察します。配当性向については、無理のない株主還元を実施しており、今後も継続的な株主還元が見込めるのかを判断していきます。

配当利回り

配当利回りとは、株式の購入金額に対して年間で受け取ることのできる配当金を表す数値であり、「配当利回り=年間配当金/株式購入金額*100」という式で表されます。

2023年4月16日時点、ダイヘンの予想配当利回りは、約3.44%です。
※2023年予想配当金額150円、2023年4月14日終値4,355円で計算しました。

高配当株の基準とされる税引前配当利回り3.75%(税引後配当利回り3.00%)を上回る水準です。配当利回り3.44%は100万円を投資していれば、税引前で約34,400円の配当金を得られる計算になります。
配当利回り3.44%はパンダの判断基準3.75%を満たしていないため、△と評価します。株価が4,000円を下回れば、高配当株の水準である3.75%を超えます。2022年10月には3,700円付近で株価が推移しており、3.75%の基準を満たす可能性はありそうです

配当金推移

増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ることを指します。
具体的なダイヘンの2012年から2022年の配当金推移はグラフのようになっています。

過去10年間の配当金推移のグラフ

POINT!

総合評価:○

(10年間での減配実績なし○ / 恐慌時の安定配当実績:○)

2012年~2022年の10年間で増配回数7回、減配0回で2023年は2022年から増配して1株あたり150円の配当を予想しています。2012年と2023年の配当金を比較すると3.14倍に成長しています。

投資の判断基準の1つである「10年間減配なし」に関しては、10年間で7回増配かつ減配は1回もないため○評価です。コロナ禍(2021年3月決算)でも1株5円の増配を実施しました。

もう1つの指標である「恐慌時の安定配当実績」に関しても○と評価します。リーマンショック時の2009年(2010年3月決算)を含む2007年~2014年の期間は1株35円の配当を維持しており、安定して配当を実施することが期待できます

配当性向

配当性向とは、当期純利益のうち、どれだけの割合を配当金の支払いに当てたのかを示す指標です。配当性向は高ければ高いほど良いわけではありません。配当性向が100%以上の場合、当期純利益以上に配当金を支払っており、事業の継続性に影響を及ぼす可能性があります。配当性向30~50%程度の企業は優良企業と考えることができます。また、企業によっては中期経営計画で目標とする配当性向を公表している企業もありますので、中期経営計画の水準を満たしているのかを調べることも大切です。

過去10年間の配当性向のグラフ

POINT!

配当性向△

(配当性向△)

投資判断の基準である配当性向は○と評価します。2021年(2022年3月決算)の配当性向は24.7%であり、理想的な水準である30~50%は満たしていませんが過去10年間の平均配当性向は31.2%と理想的な水準です。

ダイヘンの株主還元方針では、単年度利益に対する配当性向30%以上を基本方針としており、2023年度は前年比+40倍となる1株150円の配当を予定しています。

株主還元の評価

  1. 配当利回り:△ 
  2. 配当推移:○ 
  3. 配当性向:○ 

収益性

本記事の収益性では、「売上高」「営業CF」の2点から事業が順調に拡大しており、企業が収益を得ることができているのかを調査していきます。売上が順調に拡大していれば、配当金の増加だけではなく、今後の株価の上昇も期待することができます。営業CFでは、企業が本業でどれだけの利益を出しているのかを知ることができ、しっかりと稼いでいる企業なのかを判断できます。また、営業CFが長期的に増加していれば、今後もさらに本業で利益を出すことが期待でき、継続的な配当を計算することができます。

売上高

売上高とは、企業が商品やサービスを提供して得られる売上合計金額です。営業収益や収益などの呼ばれ方をしている場合もあるが、それらは全て売上高のことを指します。

ダイヘンの2012年から2022年の売上高推移はグラフのようになっています。

過去10年間の売上高推移のグラフ

POINT!

総合評価:○

(売上高の安定性:○ / 売上高の成長性:○)

売上高は増加8回、減少2回で2012年と2022年の売上高を比較すると約1.73倍に成長しています。

投資判断基準である「売上の安定性」に関しては○と評価します。過去10年で8回売上が増加しており、10%以上の売上減少は1度もないため○と評価しました。2013年3月決算,2019年3月決算で売上が減少していますが、どちらも5%以下の小幅な減少にとどめています。10年連続での売上増加を◎としているため、○の判断ですが十分安定しているといえます

もう1つの投資判断基準「売上の成長性」に関しても○と評価します。10年間で売上は1.73倍となっており、○と判断するための基準である1.6倍を満たしています。過去10年間で2桁成長をしている年が4年間あり、安定性だけでなく成長性もある企業だといえます。

営業活動CF(営業キャッシュフロー)

営業活動CFとは、本業による収入と支出の差額を指します。投資CFや財務CFを含まないため、本業で利益が出ているのかを確認することができます。

ダイヘンの2012年から2022年の営業CF推移はグラフのようになっています。

過去10年間の営業CF推移のグラフ

POINT!

総合評価:◎

(毎年黒字:○ / 長期的に増加:◎)

10年間で営業CF増加5回、減少5回で2012年と2023年を比較すると約3.57倍に成長しています。

投資判断基準である「毎年黒字」に関しては◎と評価します。過去10年間で赤字は一度もなく本業で利益を出し続けています。

もう1つの投資判断基準である「長期的に増加」に関しても○と判断します。過去10年間で5回の減少を記録していますが、3.57倍へと成長しており、◎と判断するための基準「10年間で2.6倍」を満たしていることが理由です

営業CFは2020年3月決算で大幅な増加を見せており、理由を調査する必要がありそうです。この増加が一過性のものではなく、今後も継続していく理由で増加しているのであれば期待ができます。一方で継続性の低い理由で増加している場合は注意が必要です。

収益性の評価

  1. 売上高:○ 
  2. 営業活動CF:◎ 

生産性

本記事の生産性では、「営業利益率」「EPS」の2点から企業の生産性の高さを調査していきます。営業利益率では、本業がどの程度効率的に利益を生み出しているのかを判断します。本業で効率的に利益を生み出している企業は、継続的に株主に還元する余裕があると考えることができるため非常に重要な指標となっています。
EPSからは、1株あたりの純利益が継続的に増えているのかを見ていきます。EPSは経営の上手さを表すとも言われており、右肩上がりの銘柄は順調な経営をしていると判断することができます。

営業利益率

営業利益率は、本業がどれくらい効率的に利益を出しているのか知るための指標であり、「営業利益/売上」という式で示すことができます。※営業利益は、売上から売上原価や販管費などを差し引いた金額です。

ダイヘンの2012年から2022年の営業利益率推移はグラフのようになっています。

過去10年間の営業利益率推移のグラフ

POINT!

総合評価:△

(営業利益率5%以上:○ / 営業利益率のトレンド:△)

営業利益率は10年間で増加7回、減少3回です。

投資判断基準の「営業利益率5%以上」は○と評価します。2022年3月決算で○の基準である営業利益率5%を超える8.84%の営業利益率を記録しています。2014年3月決算以降、常に5%以上の営業利益率を維持しており、本業で高い利益を上げ続けていることがわかります。

もう1つの投資判断基準である「営業利益率のトレンド」に関しても△と判断します。最後の営業利益率減少は2019年3月決算であり、ここ3年間は営業利益が改善されています。しかし、○の判断基準「10年間で減少2回以内」を満たしていないため、△と判断しました。2023年3月決算で営業利益率が改善されれば、2013年以降の営業利益率悪化は2回となり、○の判断基準を満たすことになります。

EPS

EPSとは、1株あたり純利益のことを指しており、「当期純利益/発行済株式数」という式で表されます。EPSが右肩上がりであれば、それだけでも会社経営としては100点だと言われることもある重要指標です。※当期純利益とは、企業が1年間をとしてあげた収益から人件費や販管費、税金など全ての費用を差し引いた利益のことです。

ダイヘンの2012年から2022年のEPS推移はグラフのようになっています。

過去10年間のEPS推移のグラフ

POINT!

EPSが右肩上がり:○

EPSは8回、減少2回で2012年と2022年で比較すると約5.76倍に成長しています。

投資判断の基準である「EPSが右肩上がり」に関しては○と評価します。過去10年で減少したのは2回であり、2年連続での減少がないことが判断理由です。2017年3月決算では前年比12.7%の減少、2019年3月決算では前年比9.27%の減少をしていますが、10年間で見れば右肩上がりで順調な成長を見せています

生産性の評価

  1. 営業利益率:△ 
  2. EPS:○ 

安全性

本記事の安全性では、「自己資本比率」「現金等保有額」の2点から企業の安全性の高さを調査しています。自己資本比率は、40%以上あれば倒産確率が低いと考えられており、この水準を超えている企業は比較的安全な投資先だと判断することができます。現金等保有額は、現金や換金性の高い資産の保有額であり、企業の経営が順調であれば増加していく傾向だとされています。また、現金等保有額が多いほど、資金が必要になった際に対応しやすいため企業の安全性を示す指標だと考えています。

自己資本比率

自己資本比率とは、企業の持つ総資本のうち純資産が占める割合のことを指します。一般的には自己資本比率が高ければ高いほど会社が潰れにくいと考えられています。
例えば総資本100万円の企業の自己資本が100万円であれば、自己資本比率は100%です。総資本100万円の企業の自己資本が50万円、借入金額が50万円の場合は自己資本比率50%です。

ダイヘンの2012年から2022年の自己資本比率はグラフのようになっています。

過去10年間の自己資本比率推移のグラフ

POINT!

自己資本比率40%以上:○

自己資本比率は10年間で増加6回、減少4回です。

投資判断基準である「自己資本比率40%以上」に関しては○と評価します。2022年3月決算の自己資本比率は51.2%であり、基準となる40%を満たしています。過去10年間は増減を繰り返していますが、10年平均47.4%を記録しており、倒産確率の低い企業だということがわかります

現金等保有額

現金等とは、現金や換金性の高い資産をどれだけ持っているのかを表す指標です。現金等が前年度と比較して増加していれば、経営状態が良いと判断できます。

ダイヘンの2012年から2022年の現金等推移はグラフのようになっています。

過去10年間の現金等推移のグラフ

POINT!

安定して増加:△

現金等保有額は増加7回、減少3回で現金等保有額は3.14倍に成長しています。

投資判断基準である「現金等が安定して増加」に関しては△と評価します。10年間で10%以上の減少がないことを○の基準としていますが、2013年3月決算で前年比10.0%の減少を記録したため△の評価となりました。2023年3月決算で現金等保有額が増加した場合は○の評価になります。2020年3月決算以降は現金等保有額の減少もなく、順調な経営状態であることが見てとれます。

生産性の評価

  1. 自己資本比率:○ 
  2. 現金等保有額:△ 

まとめ

今回のダイヘンは、

  1. 株主還元
    1. 配当利回り:△
    2. 配当推移:○
    3. 配当性向:△
  2. 収益性
    1. 売上高:○
    2. 営業CF:◎
  3. 生産性
    1. 営業利益率:△
    2. EPS:○
  4. 安全性
    1. 自己資本比率:○
    2. 現金等保有額:△

という結果でした。

ダイヘンは、総合21点で「魅力的な銘柄」と評価しました。
特に「営業CF」の項目は非常に魅力的でした。毎年黒字を記録しており、本業で利益を出し続けていることがわかります。また、10年前と比較して3.57倍への成長を見せており、本業での利益が大幅に拡大していることがわかります。他にも「配当推移」「売上高」「EPS」「自己資本比率」の指標は十分な水準を記録しています。

「利回り」「配当性向」「営業利益率」「現金等保有額」は△の評価でしたが、すべての指標で○に近い数値を記録しています。利回りは株価が2022年10月頃の水準に戻れば3.75%を満たします。配当性向に関しても2022年は30%を下回りましたが、2023年は増配を予定しており、30~50%の水準を満たしそうです。営業利益率、現金等保有額に関しても2023年3月決算によって○の評価がつく水準となっています。

2023年3月決算を終えた頃には、さらに魅力度が増し、非常に魅力的な銘柄と判断できそうな予感がしています。