安定配当実施中!コムシスHDは魅力的な高配当銘柄なのか!?

更新日:2023年4月21日

Twitterで時々見かけるコムシスHDが高配当株投資をしたくなるような優良企業なのか気になり調べてみることにしました。高配当株と呼べる利回りの企業なのか、業績は順調に推移しているのか、生産性は高いのか、倒産するリスクは低いのかなど、投資をする上で重要な指標を調べていますのでぜひご覧ください!

コムシスHDは、光ファイバケーブルの設計と敷設・接続などを営んでいる通信工事の企業であり、建設セクターに分類される企業です。建設セクターには他にも大和ハウス工業や積水ハウスがあります。
※本記事のデータは、IR BANKを参照しております。
※本記事は作者の頭の整理ならびに情報提供を目的としており、投資を推奨する意図はございません。投資判断はご自身でお願いいたします。

着目する「9つの要素」とは?

  1. 配当利回り
    株式の購入金額に対して年間で受け取ることのできる配当金を表す数値
  2. 配当推移
    増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ること
  3. 配当性向
    増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ること
  4. 売上高
    企業が商品やサービスを提供して得られる売上合計金額
  5. 営業活動CF
    本業による収入と支出の差額
  6. 営業利益率
    本業がどれくらい効率的に利益を出しているのか知るための指標
  7. EPS
    1株あたり純利益
  8. 自己資本比率
    企業の持つ総資本のうち純資産が占める割合
  9. 現金等保有額
    現金や換金性の高い資産をどれだけ持っているのかを表す指標

コムシスHDの評価

まずはコムシスHDの評価!
コムシスHDは、総合21点で「購入を検討」と評価しました。

コムシスHDは「配当性向30~50%」「自己資本比率60%以上」と非常に高水準な指標があり、「配当利回り」「配当金推移」「売上高」も十分な水準の企業です。
大きな懸念は現金等保有額が安定して増加していないことがあげられますが、自己資本比率は高く、安全性は高い企業だと考えて問題なさそうです。他にも生産性の項目である「営業利益率」「EPS」の推移が少し気になる点ではあります。

ここからはそれぞれの指標をより詳しくご紹介します。

株主還元

本記事の株主還元では、「配当利回り」「配当推移」「配当性向」の3点から企業が積極的に株主還元をおこなっているのかを調査していきます。現在の配当利回りからは高配当株として投資に値する水準なのかを判断し、配当推移からは、安定した配当を実施してくれているのか、この先も配当を実施し続ける可能性が高いのかを考察します。配当性向については、無理のない株主還元を実施しており、今後も継続的な株主還元が見込めるのかを判断していきます。

配当利回り

配当利回りとは、株式の購入金額に対して年間で受け取ることのできる配当金を表す数値であり、「配当利回り=年間配当金/株式購入金額*100」という式で表されます。

2023年4月7日時点、コムシスHDの予想配当利回りは、約4.10%です。
※2023年予想配当金額100円、2023年4月7日終値2,439円で計算しました。

高配当株の基準とされる税引前配当利回り3.75%(税引後配当利回り3.00%)を上回る水準です。配当利回り4.10%は100万円を投資していれば、税引前で約41,000円の配当金を得られる計算になります。

配当利回り4.10%はパンダの判断基準3.75%を満たしており、○と評価します。株価が2,000円を下回れば、◎と評価する基準の配当利回り5%を超えます。52週安値が2,279円であり、5%超の配当利回りを期待するのは難しそうだといえます。

配当金推移

増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ることを指します。
具体的なコムシスHDの2012年から2022年の配当金推移はグラフのようになっています。

過去10年間の配当金推移のグラフ

POINT!

総合評価:○

(10年間での減配実績なし:◎ / 恐慌時の安定配当実績:○)

2012年~2022年の10年間で増配回数9回、減配0回で2023年は2022年の95円から増配して100円の配当を予想しています。2012年と2023年の配当金を比較すると4.75倍に成長しています。

投資の判断基準の1つである「10年間減配なし」に関しては、2014年3月期決算以降9年連続で増配を実施しており、10年間で減配なしかつ8回以上の増配の基準を満たしているため◎評価です。コロナ禍(2021年3月決算)でも前年比+10円(75円→85円)の増配を実施しています。

もう1つの指標である「恐慌時の安定配当実績」に関しては○と評価します。リーマンショック時の2010年3月決算、2011年3月決算で減配することなく配当を実施しました。2009年3月期~2013年3月期決算までは20円の配当を継続していました。

配当性向

配当性向とは、当期純利益のうち、どれだけの割合を配当金の支払いに当てたのかを示す指標です。配当性向は高ければ高いほど良いわけではありません。配当性向が100%以上の場合、当期純利益以上に配当金を支払っており、事業の継続性に影響を及ぼす可能性があります。配当性向30~50%程度の企業は優良企業と考えることができます。また、企業によっては中期経営計画で目標とする配当性向を公表している企業もありますので、中期経営計画の水準を満たしているのかを調べることも大切です。

過去10年間の配当性向のグラフ

POINT!

総合評価:◎

(配当性向:◎)

投資判断の基準である配当性向30~50%は◎と評価します。2021年(2022年3月決算)の配当性向は40.3%であり、◎の基準を満たしています。10年平均も31.8%であり、株主に対する還元意識の高さを見てとることができます

株主還元の評価

  1. 配当利回り:○ 
  2. 配当推移:○ 
  3. 配当性向:◎ 

収益性

本記事の収益性では、「売上高」「営業CF」の2点から事業が順調に拡大しており、企業が収益を得ることができているのかを調査していきます。売上が順調に拡大していれば、配当金の増加だけではなく、今後の株価の上昇も期待することができます。営業CFでは、企業が本業でどれだけの利益を出しているのかを知ることができ、しっかりと稼いでいる企業なのかを判断できます。また、営業CFが長期的に増加していれば、今後もさらに本業で利益を出すことが期待でき、継続的な配当を計算することができます。

売上高

売上高とは、企業が商品やサービスを提供して得られる売上合計金額です。営業収益や収益などの呼ばれ方をしている場合もあるが、それらは全て売上高のことを指します。

コムシスHDの2012年から2022年の売上高推移はグラフのようになっています。

過去10年間の売上高推移のグラフ

POINT!

総合評価:○

(売上高の安定性:○ / 売上高の成長性:○)

売上高は増加8回、減少2回で2012年と2022年の売上高を比較すると約1.99倍に成長しています。

投資判断基準である「売上の安定性」に関しては○と評価します。過去10年で8回売上が増加しており、10%以上の売上減少は1度もないため○と評価しました。売上減少は2015年3月決算,2016年3月決算の2回ですが、どちらも2.5%以下の減少であり売上は非常に安定しているといえます。2015年,2016年の売上減少理由については決算を深掘りして理解しておく必要がありそうです。

もう1つの投資判断基準「売上の成長性」に関しても○と評価します。10年間で売上は1.99倍となっており、○と判断するための基準である1.6倍を超えています。2018年3月期~2020年3月までは2桁成長を見せましたが、2021年には0.43%の増加に留まっており、2022年も4.56%の成長です。売上が増加しており十分ではありますが、成長率が下がった理由についてはしっかりと調査した上で投資判断をおこなうことをおすすめします。

営業活動CF(営業キャッシュフロー)

営業活動CFとは、本業による収入と支出の差額を指します。投資CFや財務CFを含まないため、本業で利益が出ているのかを確認することができます。

コムシスHDの2012年から2022年の営業CF推移はグラフのようになっています。

過去10年間の営業CF推移のグラフ

POINT!

総合評価:×

(毎年黒字:○ / 長期的に増加:△)

10年間で営業CF増加4回、減少6回で2012年と2023年を比較すると約0.17倍と微増に留まっています。

投資判断基準である「毎年黒字」に関しては○と評価します。過去10年間で赤字は一度もなく本業で利益を出し続けており文句なしです

もう1つの投資判断基準である「長期的に増加」に関しては×と判断します。過去10年間で0.17倍と微増であり、△の基準である1.2倍を満たせていないことが理由です。2022年3月期決算では前年の255億円から大幅に減少し、52.4億円となってしまいました。2019年にも前年288億円から89.6億円に大幅な減少を記録しましたが、翌年には375億円と過去最高を記録しているため、2023年決算で回復してくれることを期待したいところです。

収益性の評価

  1. 売上高:○ 
  2. 営業活動CF:△ 

生産性

本記事の生産性では、「営業利益率」「EPS」の2点から企業の生産性の高さを調査していきます。営業利益率では、本業がどの程度効率的に利益を生み出しているのかを判断します。本業で効率的に利益を生み出している企業は、継続的に株主に還元する余裕があると考えることができるため非常に重要な指標となっています。
EPSからは、1株あたりの純利益が継続的に増えているのかを見ていきます。EPSは経営の上手さを表すとも言われており、右肩上がりの銘柄は順調な経営をしていると判断することができます。

営業利益率

営業利益率は、本業がどれくらい効率的に利益を出しているのか知るための指標であり、「営業利益/売上」という式で示すことができます。※営業利益は、売上から売上原価や販管費などを差し引いた金額です。

コムシスHDの2012年から2022年の営業利益率推移はグラフのようになっています。

過去10年間の営業利益率推移のグラフ

POINT!

総合評価:△

(営業利益率5%以上:○ / 営業利益率のトレンド:△)

営業利益率は10年間で増加6回、減少4回です。

投資判断基準の「営業利益率5%以上」は○と評価します。2021年度(2022年3月決算)では、◎の基準である営業利益率5%を超える7.29%の営業利益率を記録しています。2012年度(2013年3月決算)以降は常に5%以上を維持しており、2019年度(2020年3月決算)を除くと7%以上の営業利益率を維持しています。◎の判断基準である10%には届きませんでしたが、十分な基準といえます。

もう1つの投資判断基準である「営業利益率のトレンド」に関しては△と判断します。2012年度(2013年3月決算)には4.26%だった営業利益率は2021年度(2022年3月決算)で7.29%まで上がっています。ただし、過去10年間で営業利益率が4回悪化しており、○の基準である減少回数2回以内を満たしていないため△と判断しました。4回減少があるとはいえ、常に5%以上の営業利益率を維持しているため、大きな懸念点とはいえなさそうです。

EPS

EPSとは、1株あたり純利益のことを指しており、「当期純利益/発行済株式数」という式で表されます。EPSが右肩上がりであれば、それだけでも会社経営としては100点だと言われることもある重要指標です。※当期純利益とは、企業が1年間をとしてあげた収益から人件費や販管費、税金など全ての費用を差し引いた利益のことです。

コムシスHDの2012年から2022年のEPS推移はグラフのようになっています。

過去10年間のEPS推移のグラフ

POINT!

EPSが右肩上がり:△

EPSは7回、減少3回で2012年と2022年で比較すると約4.79倍に成長しています。

投資判断の基準である「EPSが右肩上がり」に関しては△と評価します。過去10年で減少は3回あり、2015年度.2016年度は2年連続での減少も記録しています。10年間で見れば順調に推移をしているため、経営状況は良好だといえそうですが、2年連続での減少がないことを○の基準としているため今回は△の判断です。

生産性の評価

  1. 営業利益率:△ 
  2. EPS:△ 

安全性

本記事の安全性では、「自己資本比率」「現金等保有額」の2点から企業の安全性の高さを調査しています。自己資本比率は、40%以上あれば倒産確率が低いと考えられており、この水準を超えている企業は比較的安全な投資先だと判断することができます。現金等保有額は、現金や換金性の高い資産の保有額であり、企業の経営が順調であれば増加していく傾向だとされています。また、現金等保有額が多いほど、資金が必要になった際に対応しやすいため企業の安全性を示す指標だと考えています。

自己資本比率

自己資本比率とは、企業の持つ総資本のうち純資産が占める割合のことを指します。一般的には自己資本比率が高ければ高いほど会社が潰れにくいと考えられています。
例えば総資本100万円の企業の自己資本が100万円であれば、自己資本比率は100%です。総資本100万円の企業の自己資本が50万円、借入金額が50万円の場合は自己資本比率50%です。

コムシスHDの2012年から2022年の自己資本比率はグラフのようになっています。

過去10年間の自己資本比率推移のグラフ

POINT!

自己資本比率40%以上:◎

自己資本比率は10年間で増加3回、減少6回です。

投資判断基準である「自己資本比率40%以上」に関しては◎と評価します。2021年度(2022年3月決算)の自己資本比率は64.5%であり、◎の基準となる60%を満たしています。過去10年間で6回減少していますが、現在も60%以上をうわまっているため◎の判断をしています。ただし、2021年度(2022年3月決算)は前年比-5.56%であり、理由を調べる必要がありそうです。

現金等保有額

現金等とは、現金や換金性の高い資産をどれだけ持っているのかを表す指標です。現金等が前年度と比較して増加していれば、経営状態が良いと判断できます。

コムシスHDの2012年から2022年の現金等推移はグラフのようになっています。

過去10年間の現金等推移のグラフ

POINT!

安定して増加:×

現金等保有額は増加5回、減少5回で現金等保有額は1.01倍に成長しています。

投資判断基準である「現金等が安定して増加」に関しては×と評価します。前年比-10%以上を記録している年が3回あり、安定して増加しているとはいえないことが×と判断した理由です。特に2012年度,2017年度は前年比30%に迫る減少を記録しているため、理由を調べる必要がありそうです。事業拡大に向けて大きな投資や企業の買収をしている可能性もあるため、減少理由によっては投資判断にマイナスな影響を与えない可能性もあります。

生産性の評価

  1. 自己資本比率:◎ 
  2. 現金等保有額:× 

まとめ

今回のコムシスHDは、

  1. 株主還元
    1. 配当利回り:○
    2. 配当金推移:○
    3. 配当性向◎
  2. 収益性
    1. 売上高:○
    2. 営業CF:△
  3. 生産性
    1. 営業利益率:△
    2. EPS:△
  4. 安全性
    1. 自己資本比率:◎
    2. 現金等保有額:×

という結果でした。

コムシスHDは、総合21点で「購入を検討」と評価しました。

コムシスHDは「配当性向30~50%」「自己資本比率60%以上」と非常に高水準な指標があり、「配当利回り」「配当金推移」「売上高」も十分な水準の企業です。
大きな懸念は現金等保有額が安定して増加していないことがあげられますが、自己資本比率は高く、安全性は高い企業だと考えて問題なさそうです。他にも生産性の項目である「営業利益率」「EPS」の推移が少し気になる点ではあります。

通信工事の大手であるコムシスHDに投資をする上で参考にしていただけると嬉しいです。