テーマパーク運営参画で話題!高配当投資でも話題?”サムティ”

更新日:2023年4月14日

高配当株投資で不労所得を得てFIREしたい!そんな思いを持つ中、ネスタリゾート神戸の経営権を獲得した「サムティ」が高配当銘柄だという噂を聞きつけました!

サムティは、配当利回り4%超の高配当企業だということは知っています。しかし、経営状況などについてはまだ何も知りません。今回はそんなサムティについて8つの指標を用いて投資する価値のある企業なのかを調査していきます。

サムティは関西地盤のマンションデベロッパーです。不動産の開発・再販、自社ブランドマンション開発などの事業を展開しており、投資セクターは「不動産業」に分類されます。セクター分散を意識して投資に取り組んでいる方はぜひ覚えておいてくださいね!
※本記事のデータは、IR BANKを参照しております。
※2021年11月決算情報が掲載されていないため、2021年11月決算を用いて調査しています。

着目する「8つの要素」とは?

  1. 配当利回り
    株式の購入金額に対して年間で受け取ることのできる配当金を表す数値
  2. 増配回数・減配回数
    増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ること
  3. 売上高
    企業が商品やサービスを提供して得られる売上合計金額
  4. EPS
    1株あたり純利益
  5. 営業利益率
    本業がどれくらい効率的に利益を出しているのか知るための指標
  6. 自己資本比率
    企業の持つ総資本のうち純資産が占める割合
  7. 営業活動CF
    本業による収入と支出の差額
  8. 現金等
    現金や換金性の高い資産をどれだけ持っているのかを表す指標

サムティの評価

まずはサムティの評価!
サムティは、総合8点で「購入を見送り」と評価しました。
サムティは「配当利回り」「売上の成長性」「営業利益率の高さ」など魅力的な要素もありますが、総合的には購入を見送りという判断になりました。

配当利回りは4.24%と投資するには十分な水準です。10年間で売上が5.59倍となっていることにも魅力を感じますが、安定性を重要視するパンダの基準とは相性が悪かったというしかありません。

懸念点としては「EPSが右肩上がりでない」「自己資本比率30%未満」「営業CFが赤字を記録」などです。EPSは過去10年間で4回の減少があり、右肩上がりとは言えません。3年前と比較して常に増加しているという要件も満たしていないため厳しい評価になりました。自己資本比率については30%を超えた年もあり、今後改善することで懸念する必要は亡くなる可能性もあります。最後に営業CFの問題ですが、積極的に仕入れをおこなっている可能性もあるため、より丁寧な情報収集が必要となります。

本記事はあくまで指標を元に判断したものであり、それぞれについて丁寧に追加情報を集めた上で投資判断を行う必要があります。

配当利回り

配当利回りとは、株式の購入金額に対して年間で受け取ることのできる配当金を表す数値であり、「配当利回り=年間配当金/株式購入金額*100」という式で表されます。

2023年3月24日時点、サムティの予想配当利回りは、約4.24%です。
※2022年予想配当金額90円、2023年3月24日終値2,122円で計算しました。

高配当株の基準とされる税引前配当利回り3.75%(税引後配当利回り3.00%)を上回る水準です。配当利回り4.24%は100万円を投資していれば、税引前で約42,400円の配当金を得られる計算になります。

配当利回り4.24%はパンダの判断基準3.75%を満たしており、○と評価します。株価が1,800円を下回れば、◎と評価する基準の配当利回り5%を超えます。直近1年間の株価を見ると安値が1,935円であり、利回り5%以上にはなっていません。もう少し過去を振り返ると2021年には1,800円を下回って推移しています。

増配回数・減配回数

増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ることを指します。
具体的なサムティの2011年から2021年の配当金推移はグラフのようになっています。

過去10年間の配当金推移のグラフ

増配・減配の評価

POINT!

総合評価:△

(10年間での減配実績なし:◎ / 恐慌時の安定配当実績:×)

2011年~2021年の10年間で増配回数8回、減配0回で2022年は2021年と同額の1株あたり90円の配当を予想しています。2011年と2022年の配当金を比較すると8.33倍に成長しています。

投資の判断基準の1つである「10年間減配なし」に関しては、10年間で減配はなく、8回の増配を記録しているため◎の評価です。2012年11月期,2016年11月期,2022年11月期は前年と同額の配当を実施しています。

もう1つの指標である「恐慌時の安定配当実績」に関しては×と評価します。リーマンショック時の2008年11月決算では、前年30円→0円へと減配をしています。恐慌時に無配を記録した過去があることから、恐慌時の安定配当実績は×と評価しました。

売上高

売上高とは、企業が商品やサービスを提供して得られる売上合計金額です。営業収益や収益などの呼ばれ方をしている場合もあるが、それらは全て売上高のことを指します。

サムティの2011年から2021年の売上高推移はグラフのようになっています。

過去10年間の売上高推移のグラフ

売上高の評価

POINT!

総合評価:△

(売上高の安定性:× / 売上高の成長性:◎)

売上高は増加7回、減少3回で2011年と2021年の売上高を比較すると約5.59倍に成長しています。

投資判断基準である「売上の安定性」に関しては×と評価します。過去10年で10%以上の減収が3回あり、安定性には欠けることが理由です。もう1つの投資判断基準「売上の成長性」に関しては◎と評価します。10年間で売上が5.59倍となっており、◎と判断するための基準である2.6倍を大幅に超えています。

売上の安定性には欠けますが、10年間での成長性は抜群です。しかし、パンダの判断基準に基づき売上の総合判断は△とします。売上に関しては、成長性よりも安定性を重要視するという考えが判断基準の根幹になっています。

EPS

EPSとは、1株あたり純利益のことを指しており、「当期純利益/発行済株式数」という式で表されます。EPSが右肩上がりであれば、それだけでも会社経営としては100点だと言われることもある重要指標です。※当期純利益とは、企業が1年間をとしてあげた収益から人件費や販管費、税金など全ての費用を差し引いた利益のことです。

サムティの2011年から2021年のEPS推移はグラフのようになっています。

過去10年間のEPS推移のグラフ

EPSの評価

POINT!

EPSが右肩上がり:×

EPSは6回、減少4回で2011年と2021年で比較すると約3.69倍に成長しています。

投資判断の基準である「EPSが右肩上がり」に関しては×と評価します。過去10年間で4回減少を記録しており、右肩上がりとは言えません。また、2021年11月決算でEPSが242.5であり、3年前の285.6を下回っており、△の判断基準である「3年前と比較して常に増加」を満たしていません。

営業利益率

営業利益率は、本業がどれくらい効率的に利益を出しているのか知るための指標であり、「営業利益/売上」という式で示すことができます。※営業利益は、売上から売上原価や販管費などを差し引いた金額です。

サムティの2011年から2021年の営業利益率推移はグラフのようになっています。

過去10年間の営業利益率推移のグラフ

営業利益率の評価

POINT!

総合評価:○

(営業利益率5%以上:◎ / 営業利益率のトレンド:×)

営業利益率は10年間で増加4回、減少6回です。

投資判断基準の「営業利益率5%以上」は◎と評価します。2021年11月決算では、◎の基準である営業利益率10%を超える10.46%の営業利益率を記録しています。10年平均でも15.56%の営業利益率を誇っており、非常に高い水準を維持していることがわかります。

もう1つの投資判断基準である「営業利益率のトレンド」に関しては×と判断します。2011年11月期に17.56%だった営業利益率は2021年度11月期に10.46%まで下がっています。10年前と比較して営業利益率が悪化しているため、営業利益率トレンドは×と評価しました。

過去には、2013年11月期決算で10.17%まで下がった営業利益率が2014年11月期に16.59%まで回復したこともあるため、今回も同様の回復を見せてくれることを期待しましょう。

自己資本比率

自己資本比率とは、企業の持つ総資本のうち純資産が占める割合のことを指します。一般的には自己資本比率が高ければ高いほど会社が潰れにくいと考えられています。
例えば総資本100万円の企業の自己資本が100万円であれば、自己資本比率は100%です。総資本100万円の企業の自己資本が50万円、借入金額が50万円の場合は自己資本比率50%です。

サムティの2011年から2021年の自己資本比率はグラフのようになっています。

過去10年間の自己資本比率推移のグラフ

自己資本比率の評価

POINT!

自己資本比率40%以上:×

自己資本比率は10年間で増加4回、減少5回です。

投資判断基準である「自己資本比率40%以上」に関しては△と評価します。2021年11月期決算の自己資本比率は27%であり、△の基準となる30%を満たしていません。2018年11月期決算~2020年11月期決算までは自己資本比率30%以上をキープしていましたが、2021年11月期決算で30%を割ってしまいました。過去10年間は増減を繰り返しており、10年平均は27.2%と30%を下回っていることも知っておく必要がありそうです。

営業活動CF(営業キャッシュフロー)

営業活動CFとは、本業による収入と支出の差額を指します。投資CFや財務CFを含まないため、本業で利益が出ているのかを確認することができます。

サムティの2011年から2021年の営業CF推移はグラフのようになっています。

過去10年間の営業CF推移のグラフ

営業CFの評価

POINT!

総合評価:×

(毎年黒字:× / 長期的に増加:×)

10年間で営業CF増加5回、減少5回で2011年と2023年を比較すると約98%へ減少しています。

投資判断基準である「毎年黒字」に関しては×と評価します。過去10年間で営業CF赤字が4回あることが理由です。もう1つの投資判断基準である「長期的に増加」に関しても×と判断します。2016年11月期~2020年11月期にかけては毎年黒字を記録していましたが、2021年11月期に大幅な減少を記録しています。過去10年間で営業CFが減少しており、長期的に増加しているとは言えないことが理由です。

パンダは、アフターコロナの観光収入増加を見越して仕入れにお金を使っていることで営業CFが赤字になっているのではないかと想定をしています。サムティの発表している資料をより詳しく読み込んだ上で判断をしていきたいと思います。

現金等

現金等とは、現金や換金性の高い資産をどれだけ持っているのかを表す指標です。現金等が前年度と比較して増加していれば、経営状態が良いと判断できます。

サムティの2011年から2021年の現金等推移はグラフのようになっています。

過去10年間の現金等推移のグラフ

現金等の評価

POINT!

安定して増加:○

現金等保有額は増加7回、減少2回で現金等保有額は10.28倍に成長しています。

投資判断基準である「現金等が安定して増加」に関しては○と評価します。10年間で2回の減少を記録していますが、10%超の減少はなく安定して増加していると言えます。2020年11月期,2021年11月期は連続で現金等保有額が減少しているため、今後の動きを注視する必要がありそうです。

まとめ

今回のサムティは、

  1. 配当利回り:○(約4.24%)
  2. 増配回数・減配回数:△
  3. 売上高:△
  4. EPS:×
  5. 営業利益率:○
  6. 自己資本比率:×
  7. 営業活動CF:×
  8. 現金等:○

という結果でした。

サムティは、総合8点で「購入を見送り」と評価しました。
サムティは「配当利回り」「売上の成長性」「営業利益率の高さ」など魅力的な要素もありますが、総合的には購入を見送りという判断になりました。

配当利回りは4.24%と投資するには十分な水準です。10年間で売上が5.59倍となっていることにも魅力を感じますが、安定性を重要視するパンダの基準とは相性が悪かったというしかありません。

懸念点としては「EPSが右肩上がりでない」「自己資本比率30%未満」「営業CFが赤字を記録」などです。EPSは過去10年間で4回の減少があり、右肩上がりとは言えません。3年前と比較して常に増加しているという要件も満たしていないため厳しい評価になりました。自己資本比率については30%を超えた年もあり、今後改善することで懸念する必要は亡くなる可能性もあります。最後に営業CFの問題ですが、積極的に仕入れをおこなっている可能性もあるため、より丁寧な情報収集が必要となります。

本記事はあくまで指標を元に判断したものであり、それぞれについて丁寧に追加情報を集めた上で投資判断を行う必要があります。