脅威の配当利回り10%超!前年比+100%増配”川崎汽船”

更新日:2023年3月21日

利回りランキングTOP10に入っている川崎汽船は優良高配当株なのかを8つの要素を用いて調査していきます。

着目する「8つの要素」とは?

  1. 配当利回り
    株式の購入金額に対して年間で受け取ることのできる配当金を表す数値
  2. 増配回数・減配回数
    増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ること
  3. 売上高
    企業が商品やサービスを提供して得られる売上合計金額
  4. EPS
    1株あたり純利益
  5. 営業利益率
    本業がどれくらい効率的に利益を出しているのか知るための指標
  6. 自己資本比率
    企業の持つ総資本のうち純資産が占める割合
  7. 営業活動CF
    本業による収入と支出の差額
  8. 現金等
    現金や換金性の高い資産をどれだけ持っているのかを表す指標

※本記事は作者の頭の整理ならびに情報提供を目的としており、投資を推奨する意図はございません。投資判断はご自身でお願いいたします。
※本記事のデータは、IR BANKを参照しております。

川崎汽船の評価

まずは川崎汽船の評価!
川崎汽船は、総合2点で「購入を見送り」と評価します。

2012年~2022年で無配期間があることが購入見送りの最大の理由です。他にも「売上高の安定性・成長性のなさ」「EPSが赤字を記録」「営業利益率が赤字を記録」など不安材料があります。配当利回り13.75%以外は特に評価できる項目がありませんでした。

配当利回り

配当利回りとは、株式の購入金額に対して年間で受け取ることのできる配当金を表す数値であり、「配当利回り=年間配当金/株式購入金額*100」という式で表されます。

2023年2月1日時点、川崎汽船の予想配当利回りは、約13.75%です。
※2023年予想配当金額400円、2023年2月3日終値2,909円で計算しました。

高配当株の基準とされる税引前配当利回り3.75%(税引後配当利回り3.00%)を上回る水準です。
配当利回り13.75%は100万円を投資していれば、税引前で約137,500円の配当金を得られる計算です。

StockPandaでは税引前配当利回り3.75%(税引後配当利回り3.00%)を目安に投資判断をしており、川崎汽船の配当利回りは十分に基準を満たしているため「◎」と評価します。

増配回数・減配回数

増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ることを指します。
具体的な川崎汽船の2012年から2022年の配当金推移はグラフのようになっています。

川崎汽船過去10年間の配当金推移のグラフ

増配・減配の評価

POINT!

総合評価:×

(10年間での減配実績なし:× / 恐慌時の安定配当実績:×)

2012年~2022年の10年間で増配回数4回、減配2回です。2023年は2022年から増配して1株あたり400円の配当を予想していますが、投資の判断基準の1つである「10年間減配なし」に関しては×と評価します。過去10年間で無配の年があることが理由です。

もう1つの指標である「恐慌時の安定配当実績」に関しても×と評価します。
リーマンショックの影響を受けたのか2010年に無配に転落しています。2011年に復配しましたが、2012年は再び無配に転落しており、安定して配当を実施しているとは言えません。(参照:配当金チェッカー)

パンダの投資姿勢として、長期的に安定して配当を得られる可能性が低そうな場合は購入を見送ります。購入見送りは決定しましたが、他の指標についても調査を進めます。

売上高

売上高とは、企業が商品やサービスを提供して得られる売上合計金額です。営業収益や収益などの呼ばれ方をしている場合もあるが、それらは全て売上高のことを指します。

川崎汽船の2012年から2022年の売上高推移はグラフのようになっています。

川崎汽船過去10年間の売上高推移のグラフ

売上高の評価

POINT!

総合評価:×

(売上高の安定性:× / 売上高の成長性:×)

投資判断基準である「売上の安定性」に関しては×と評価します。10%超の減少を4回記録しており、売上が安定しているとは言えません。また、2年以上連続で売上高減少を記録していることも理由です。
もう1つの投資判断基準「売上の成長性」に関しても×と評価します。売上高は10年間で増加5回、減少5回を経て78%まで減少しました。10年間で売上高が減少しており、成長しているとは言えません

EPS

EPSとは、1株あたり純利益のことを指しており、「当期純利益/発行済株式数」という式で表されます。EPSが右肩上がりであれば、それだけでも会社経営としては100点だと言われることもある重要指標です。※当期純利益とは、企業が1年間をとしてあげた収益から人件費や販管費、税金など全ての費用を差し引いた利益のことです。

川崎汽船の2012年から2022年のEPS推移はグラフのようになっています。

川崎汽船過去10年間のEPS推移のグラフ

EPSの評価

POINT!

EPSの成長性:×

投資判断の基準である「EPSの成長性」に関しては×と評価します。過去10年で赤字が4回あることが理由です。2013年に黒転しましたが、2016年再び赤字に転落しています。増加7回減少3回と悪くない数値ですが、減少幅の大きさに不安があります。

営業利益率

営業利益率は、本業がどれくらい効率的に利益を出しているのか知るための指標であり、「営業利益/売上」という式で示すことができます。※営業利益は、売上から売上原価や販管費などを差し引いた金額です。

川崎汽船の2012年から2022年の営業利益率推移はグラフのようになっています。

川崎汽船過去10年間の営業利益率推移のグラフ

営業利益率の評価

POINT!

総合評価:×

(営業利益率5%以上:× / 営業利益率のトレンド:△)

投資判断基準の「営業利益率5%以上」は×と評価します。2012年,2017年,2019年,2021年の4回0%以下を記録していることが理由です。2022年の営業利益率は2.33%ですが、10年平均は-0.29%と0%を下回ります。2023年は営業利益率9%超を予想しており、優良企業の水準とされる5%を上回る見込みです。

もう1つの投資判断基準である「営業利益率の成長性」に関しても×と判断します。2012年と2022年を比較すると営業利益率は改善されていますが、直近5年で2回の悪化があり上昇トレンドとはいえません

自己資本比率

自己資本比率とは、企業の持つ総資本のうち純資産が占める割合のことを指します。一般的には自己資本比率が高ければ高いほど会社が潰れにくいと考えられています。
例えば総資本100万円の企業の自己資本が100万円であれば、自己資本比率は100%です。総資本100万円の企業の自己資本が50万円、借入金額が50万円の場合は自己資本比率50%です。

川崎汽船の2012年から2022年の自己資本比率はグラフのようになっています。

川崎汽船過去10年間の自己資本比率推移のグラフ

自己資本比率の評価

POINT!

自己資本比率40%以上:○

投資判断基準である「自己資本比率40%以上」に関しては○と評価します。自己資本比率は10年間で増加6回、減少4回で56.2%まで上昇しています。ただし、10年間平均は26.7%であり、許容範囲の30%を下回ることには注意が必要です。

過去10年間の平均が30%を下回っているにも関わらず、○の評価がついてしまうことには問題があります。

自己資本比率の評価方法は再度検討が必要です…

営業活動CF(営業キャッシュフロー)

営業活動CFとは、本業による収入と支出の差額を指します。投資CFや財務CFを含まないため、本業で利益が出ているのかを確認することができます。

川崎汽船の2012年から2022年の営業CF推移はグラフのようになっています。

川崎汽船過去10年間の営業CF推移のグラフ

営業CFの評価

POINT!

総合評価:×

(毎年黒字:× / 長期的に増加:◎)

投資判断基準である「毎年黒字」に関しては×と評価します。2012年,2017年,2020年の3回赤字を記録したことが理由です。
もう1つの投資判断基準である「長期的に増加」に関しては◎と判断します。2012年は赤字ですが、2022年は2,265億円の黒字であり、◎の基準である2.6倍以上を満たします。

営業CF長期的に増加の評価に関しては、2012年赤字で2022年黒字であれば、すべてが◎の評価となってしまうため見直しの必要があります。

現金等

現金等とは、現金や換金性の高い資産をどれだけ持っているのかを表す指標です。現金等が前年度と比較して増加していれば、経営状態が良いと判断できます。

川崎汽船の2012年から2022年の現金等推移はグラフのようになっています。

川崎汽船過去10年間の現金等推移のグラフ

現金等の評価

POINT!

安定して増加:×

投資判断基準である「現金等が安定して増加」に関しては×と評価します。
2015年~2017年にかけて3年連続減少、2019年2020年に2年連続減少を記録しており、安定して増加しているとは言えません。減少幅も10%超が3回と大きく減少を記録しています。

まとめ

今回の川崎汽船は、

  1. 配当利回り:13.75%
  2. 増配回数・減配回数:×
  3. 売上高:×
  4. EPS:×
  5. 営業利益率:×
  6. 自己資本比率:○
  7. 営業活動CF:×
  8. 現金等:×

という結果でした。

川崎汽船は、総合2点で「購入を見送り」と評価します。

2012年~2022年で無配期間があることが購入見送りの最大の理由です。他にも「売上高の安定性・成長性のなさ」「EPSが赤字を記録」「営業利益率が赤字を記録」など不安材料があります。配当利回り13.75%以外は特に評価できる項目がありませんでした。