魅力的な配当利回り!大手資本が入る専門商社、”稲畑産業”

更新日:2022年11月13日

魅力的な配当利回り!大手資本が入る専門商社、”稲畑産業”

中期経営計画で累進配当を明言しており、配当利回りも高水準なことで人気を集めている稲畑産業!
Twitterやブログなどで稲畑産業をおすすめしているアカウントを見かけることも少なくありません。優良な情報提供をしている方がおすすめしていると思わず購入したくなりますが、投資をする際には、自分で銘柄を調べて納得した上で購入することが大切です。今回は安心して投資ができる銘柄なのかを知るために、売上高や自己資本比率をはじめとした経営指標8つを見ていきます。

稲畑産業は専門商社ですが、総合商社と同じ卸売のセクターに分類されます。セクターの分散を考えるのであれば、三菱商事や伊藤忠商事と比較した上で投資先を決めることをお勧めします。

※本記事のデータは、IR BANKを参照しております。
※本記事は作者の頭の整理ならびに情報提供を目的としており、投資を推奨する意図はございません。投資判断はご自身でお願いいたします。

着目する「8つの要素」とは?

  1. 配当利回り
    株式の購入金額に対して年間で受け取ることのできる配当金を表す数値
  2. 増配回数・減配回数
    増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ること
  3. 売上高
    企業が商品やサービスを提供して得られる売上合計金額
  4. EPS
    1株あたり純利益
  5. 営業利益率
    本業がどれくらい効率的に利益を出しているのか知るための指標
  6. 自己資本比率
    企業の持つ総資本のうち純資産が占める割合
  7. 営業活動CF
    本業による収入と支出の差額
  8. 現金等
    現金や換金性の高い資産をどれだけ持っているのかを表す指標

稲畑産業の評価

まずは稲畑産業の評価!
合計点数16点で「魅力的な銘柄」と判断しました。
稲畑産業は「配当利回り4.80%」「10年間で9回増配」「EPSが右肩上がり」「自己資本比率40%以上」などが魅力的です。

10年間で9回の増配を実施している上で、中期経営計画で累進配当を明言しており、継続的に配当を得られる期待値が高い銘柄です。また、EPSは順調に増加しており、経営も順調だと判断ができます。自己資本比率は安定して40%以上を維持しており、倒産のリスクも高くないでしょう。

一方、営業CFは10年間で3度の赤字を計上しており、本業で利益が出ない年があることは懸念点です。営業利益率は、長い目で見れば改善されていますがまだまだ高水準とはいえない水準です。現金等も増加はしていますが、2桁以上の減少を記録した年もあり、安定性が抜群とはいえません。

商社という事業の特性上、年度ごとのばらつきが大きいことは仕方ないのかも知れません。指標だけではなく、さまざまな要素を総合的に判断して投資をするのか決めるようにしましょう。

配当利回り

配当利回りとは、株式の購入金額に対して年間で受け取ることのできる配当金を表す数値であり、「配当利回り=年間配当金/株式購入金額*100」という式で表されます。

2022年10月3日時点、稲畑産業の予想配当利回りは、約4.80%です。
※2023年予想配当金額115円、2022年10月3日終値2,396円で計算しています。

高配当株の基準とされる税引前配当利回り3.75%(税引後配当利回り3.00%)を上回る水準です。配当利回り4.80%は100万円を投資していれば、税引前で約48,000円の配当金を得られる計算になります。

基本的に税引前配当利回り3.75%(税引後配当利回り3.00%)を目安に投資判断をしており、稲畑産業の配当利回りは十分に基準を満たしています。

増配回数・減配回数

増配とは前年と比較して配当金が増えることであり、減配とは前年と比較して配当金が減ることを指します。
具体的な稲畑産業の2012年から2022年の配当金推移はグラフのようになっています。

稲畑産業過去10年間の配当金推移のグラフ

増配・減配の評価

POINT!

総合評価:○

(10年間での減配実績なし:◎ /
恐慌時の安定配当実績:○)

2012年~2022年の10年間で増配回数9回、減配0回と順調に増配。2023年は2022年から増配して1株あたり115円の配当を予想しています。2012年と2023年の配当金を比較すると5.0倍に成長しています。

投資の判断基準の1つである「10年間減配なし」に関しては◎と評価しました。10年間で9回増配をしており、投資するには十分な銘柄です。
中期経営計画で累進配当を明言していることは、安心して投資できる理由のひとつと言えそうです。

もう1つの指標である「恐慌時の安定配当実績」は、リーマンショック時・コロナショック時の配当実績を基準とします。2008年の1株あたり配当金は10円で前年の1株あたり配当金12円から2円の減配です。無配ではなく減配であったこと、コロナショックの期間は増配を実施したことより「恐慌時の安定配当実績」は○と評価します。(参照:配当金チェッカー)

売上高

売上高とは、企業が商品やサービスを提供して得られる売上合計金額です。営業収益や収益などの呼ばれ方をしている場合もありますが、それらは全て売上高のことを指します。
稲畑産業の2012年から2022年の売上高推移はグラフのようになっています。

稲畑産業過去10年間の売上高推移のグラフ

売上高の評価

POINT!

総合評価:△

(売上高の安定性:○ / 売上高の成長性:△)

売上高は10年間で増加8回、減少2回で約1.47倍へと成長しています。2020年、2021年は2年連続で売上が減少していますが、減少幅は2020年が5.4%、2021年が3.8%と2桁以上の減少はありません。2022年には増加に転じており、過去最高を記録しています。

投資判断基準である「売上の安定性」に関しては○と評価しました。過去10年で減少2回、10%以上の減少はなく、売上の安定性は高いこと判断しました。もう1つの投資判断基準「売上の成長性」に関しては△と評価します。10年間で8回の増収を記録していますが、○の基準である1.6倍には届いていないため成長性は△と判断しました。

EPS

EPSとは、1株あたり純利益のことを指しており、「当期純利益/発行済株式数」という式で表されます。EPSが右肩上がりであれば、それだけでも会社経営としては100点だと言われることもある重要指標です。※当期純利益とは、企業が1年間をとしてあげた収益から人件費や販管費、税金など全ての費用を差し引いた利益のことです。

稲畑産業の2012年から2022年のEPS推移はグラフのようになっています。

稲畑産業過去10年間のEPS推移のグラフ

EPSの評価

POINT!

EPSの成長性:○

EPSは10年間で増加8回、減少2回を通して約3.87倍に成長しました。2年連続での減少は1度もなく、減少した次の年は毎回過去最高を更新しています。2018年の減少幅は約29.6%、2020年の減少幅は約10.7%と減少時は大幅な減少を記録していることが特徴です。

投資判断の基準である「EPSの成長性」に関しては○と評価します。過去10年で減少2回ですが、2年連続での減少はなく、過去最高を更新するまで3年以上を要していないことが理由です。

積極的な事業投資を行うことでEPSが減少している可能性があるため、EPSの減少要因については調べる必要があります。

2020年は売上減少に伴うEPS減少だと想定できますが、2018年の減少に関しては理由を調べるが必要ありそうです。

営業利益率

営業利益率は、本業がどれくらい効率的に利益を出しているのか知るための指標であり、「営業利益/売上」という式で示すことができます。※営業利益は、売上から売上原価や販管費などを差し引いた金額です。

稲畑産業の2012年から2022年の営業利益率推移はグラフのようになっています。

稲畑産業過去10年間の営業利益率推移のグラフ

営業利益率の評価

POINT!

総合評価:△

(営業利益率5%以上:△ / 営業利益率の成長性:△)

営業利益率は10年間で6回の改善と4回の悪化を経て、営業利益率が1.30%も改善されています。2017年には営業利益率が2%を超えましたが、翌2018年には1.0%未満へ減少しました。その後、2019年3月決算以降は2.0%以上を維持しています。

投資判断基準の「営業利益率5%以上」は△と評価します。2022年3月決算での営業利益率が2.94%であり、○の判断基準である5%に届いていないことが理由です。。もう1つの投資判断基準である「営業利益率の成長性」に関しては△と判断します。10年間で1.3%も営業利益率が改善していますが、4回の減少があり、安定的に改善し続けているとはいえません。

2021年、2022年と連続で過去最高営業利益率を記録しており、今後さらに営業利益率が改善され、営業利益率5%以上の水準に達することを期待しています

自己資本比率

自己資本比率とは、企業の持つ総資本のうち純資産が占める割合のことを指します。一般的には自己資本比率が高ければ高いほど会社が潰れにくいと考えられています。
例えば総資本100万円の企業の自己資本が100万円であれば、自己資本比率は100%です。総資本100万円の企業の自己資本が50万円、借入金額が50万円の場合は自己資本比率50%です。

稲畑産業の2012年から2022年の自己資本比率はグラフのようになっています。

稲畑産業過去10年間の自己資本比率推移のグラフ

自己資本比率の評価

POINT!

自己資本比率40%以上:○

10年間で増加8回、減少2回を通して約1.47倍へと成長しています。2012年~2017年にかけては5年連続で増加を記録しました。2018年は約7.19%の減少を記録しましたが、翌2019年には過去最高を記録しています。2022年は約8.54%の減少ですが、40%以上の自己資本比率は維持しています。

投資判断基準である「自己資本比率40%以上」に関しては○と評価します。2022年の自己資本比率は45.0%であり、基準となる40%を満たしています。過去10年間で8回も増加しており、2016年以降に40%を上回って以降、常に40%を維持しており安定しているとわかります。

営業活動CF(営業キャッシュフロー)

営業活動CFとは、本業による収入と支出の差額を指します。投資CFや財務CFを含まないため、本業で利益が出ているのかを確認することができます。

数から読み取る営業CF

10年間で赤字3回
10年間で増加6回、減少4回

稲畑産業の2012年から2022年の営業CF推移はグラフのようになっています。

稲畑産業過去10年間の営業CF推移のグラフ

営業CFの評価

POINT!

総合評価:×

(毎年黒字:× / 長期的に増加:×)

投資判断基準である「毎年黒字」に関しては×と評価します。2015年3月決算~2021年3月決算までは黒字を続けていましたが、2022年3月決算で2014年以来の営業CF赤字を記録してしまいました。過去10年間で3度の赤字があり、本業で利益が出ていない年もあることから×と判断しています。

もう1つの投資判断基準である「長期的に増加」に関しても×と評価します。2022年3月決算で赤字を計上しており、×の判断です。本業で利益が出ていない分をどこで補っているのかを調べる必要がありそうです。

現金等

現金等とは、現金や換金性の高い資産をどれだけ持っているのかを表す指標です。現金等が前年度と比較して増加していれば、経営状態が良いと判断できます。

稲畑産業の2012年から2022年の現金等推移はグラフのようになっています。

稲畑産業過去10年間の現金等推移のグラフ

現金等の評価

POINT!

安定して増加:△

10年間で増加6回、減少4回を通して約2.62倍へと成長しています。
投資判断基準である「現金等が安定して増加」に関しては△と評価します。2014年~2016年は3年連続で現金等保有額が減少していますが、減少幅は1桁にとどまっています。最も大きく減少したのは2019年3月決算の前年比21.23%の減少です。2桁以上の減少が1回以内の場合、△の判断基準を満たします。

3年連続で減少した際には、すべて1桁の減少であり、安定性を損ねるとはいえないと判断しました

まとめ

今回の稲畑産業は、

  1. 配当利回り:約4.80%
  2. 増配回数・減配回数:○
  3. 売上高:△
  4. EPS:○
  5. 営業利益率:△
  6. 自己資本比率:○
  7. 営業活動CF:×
  8. 現金等:△

という結果でした。

合計点数16点で「魅力的な銘柄」と判断しました。
稲畑産業は「配当利回り4.80%」「10年間で9回増配」「EPSが右肩上がり」「自己資本比率40%以上」などが魅力的です。

10年間で9回の増配を実施している上で、中期経営計画で累進配当を明言しており、継続的に配当を得られる期待値が高い銘柄です。また、EPSは順調に増加しており、経営も順調だと判断ができます。自己資本比率は安定して40%以上を維持しており、倒産のリスクも高くないでしょう。

一方、営業CFは10年間で3度の赤字を計上しており、本業で利益が出ない年があることは懸念点です。営業利益率は、長い目で見れば改善されていますがまだまだ高水準とはいえない水準です。現金等も増加はしていますが、2桁以上の減少を記録した年もあり、安定性が抜群とはいえません。

商社という事業の特性上、年度ごとのばらつきが大きいことは仕方ないのかも知れません。指標だけではなく、さまざまな要素を総合的に判断して投資をするのか決めるようにしましょう。